ローラーブレイド
以前あるクレジットカード会社の法人営業部に勤務していたときのこと。
わたしは何社かの製薬会社を担当していた。中ノ島から担当先の会社までは電車を使うにも不便だし歩きではかなり遠い。自転車が一番合理的な移動手段となる。
でも法人営業部の何台かの自転車は朝一番から男性社員が夕方まで使っていてほとんどわたしは使えない。その当時はデータをマグネティックテープにおとしこみそれを授受するというやりかたで精算管理していたので、毎月ケースに入ったテープを徒歩で運ぶのがものすごい重労働だった。(タイトスカートとハイヒールという拷問のような装備だったし)
自転車を買ってほしいとかなり部長にも訴えたがなかなか総務での稟議が通らないのか買ってもらえない。
そこで、当時流行り始めたローラーブレードを買ってくださいと部長に申し出た。これならかかとでブレーキ操作もできるし、ものすごく時間の短縮ですと。足のサイズが一緒だから女子3人は使えるし、テープは背中に背負ってラクラク移動で絶対に速い!
「そのタイトスカートでも大丈夫か?それにすぐにみんな滑れるようになるのか?」「はいそんなに後ろにけりださないので大丈夫です。ブレーキもありますしみんなをトレーニングもやります。買ってください。」
わたしの熱意のこもった訴えに部長は「よしそれなら俺は印を押すから、稟議書もって総務の部長を説得してこい。うまくいったら使っていいぞ」と笑いながら言った。
稟議書をもって総務部に走っていった。おだやかに迎えてくれた私が好きな老総務部長は「今回はなにかいな」と。事情を熱心に語り、ふんふんと最後まで聞いてくれた総務部長は「それで先方について向こうの財務部長さんとお話するとき、これ履きっぱなし?。」
ハイヒールまで背負っていけないしなあ。「そうですねえ、履きっぱなしです」「エレベーターのなかも?」「なかもです」「むこうの会社でトイレに行くときも?帰ってくるまで履きっぱなしということやなあ。」
確かに履きっぱなしですと心のなかで反芻した。「むこうの部長さんにお茶に連れて行っていただいたら、そのままコロコロ滑りながらついていくの?」と部長に言われ、なんだか想像したその絵柄がおかしく私も笑い出してしまった。
総務部長も笑いながら「今回は面白かったけど、ちょっと現実的に問題あるなあ」と。
うーん残念、でもこの後もまだまだわたしの改革案は続くのだが、直訴に行ったおかげで自転車が一台配給になった。
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