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2010年7月14日 (水)

袖のふれあい

Nec_0995梅田で電車に乗るために並んでいた。
扉がひらいて乗り込んだところ、ぐっすり眠り込んでいる男性が。
梅田は終点なのでいずれにしろ降りないといけないのだが、誰も起こしてあげない。
そこで、彼をとんとんとたたいて「終点ですよ」と起こす。
熟睡していたからか、なんだかわからなくなった男性はしばらくぼーっとしていたが、ばたばたと荷物を持って出て行った。

わたしの隣に座ったおばあさんが、「よかったわねえ、起こしてもらえて」と言うので、疲れていたんでしょうねと相槌をうつ。

それをきっかけに、おばあさんが私のヨガマットを見て「ヨガですか」と話しかける。
以前は看護師としてホスピスで働いていて、緩和ケアに携っていたそう。
そして引退した今もボランティアは続けていて、緩和ケア病棟を訪れては、話し相手をしたり散歩をお手伝いしたりしているそうだ。

「今日もいまからちょっとだけ神戸にいくことになって・・・。以前入院していた方が回復して沖縄に住んでいるんだけど、今日神戸に来ていて、会いたいといってくださるので少しだけでも」と。
もう20時半を過ぎていて、終日ボランティアをしてお疲れでしょうにというと、「いいえいいえ、会いたいといってくださる方がいる限り喜んでどこにでもまいります」とおばあさんはにっこり笑う。
ご自分も腎臓に病気をかかえながら、こうやって毎日動いていらっしゃるのである。

「自分が出来ることをするのは、自分の喜びなんです。
人のためなんて思ったことは一度もないの。
人のお手伝いをすることでわたしがいただくものがとてもたくさんあるのです。」

わたしの姉は、癌でなくなる二日まえまでボランティアをやめなかった。
身体はもうぼろぼろで、ベットから起き上がれなかったけど、わたしにはまだ電話があるといって、いのちの電話で自殺を考えている人の話し相手になっていたの。
だから、身体が動けるうちはたくさん歩き回らなきゃねと。

わたしが手をふって下車するまでのほんの15分の会話である。
こんなひとときのご縁。
ほとけさまとすれ違ったようなそんな気がした。

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