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2009年4月 6日 (月)

テレマーク 巻機山

Nec_0958 Nec_0960 Nec_0962 Nec_0971 Nec_0951巻機山はゴンドラもリフトもない。
すべての高度を自分でかせがなくてはならない標高差の大きなコースである。

清水の集落はその地名どおり清らかな雪解け水が流れ、とても豊かだ。

民宿の裏手からシールをつけて雪のついた林道をしばらく歩く。
米子沢を越え、林道からはずれて樹林帯の山に入るとどんどん傾斜が急になっていく。
朝は重い雪、スキー板のとりまわしが難しい。
小さな尾根に出るまでますます傾斜が厳しくなり、板をはいたままではもう登れない。
板をはずしてザックに取り付けて、ずぼずぼと沈むつぼ足で登る。
もう手も使わないと無理。
こんな四足で登らないといけない斜面をいったい私は滑って帰れるのだろうかと不安になりながらも、後戻りできないので登り続ける。

辛い急斜面を登り尾根筋に出る。
顔をなでるとザラザラ。汗がかわいて塩になっているのである。人間ってこんなに粉こなになるのかなあと疲れた頭でぼーっと考えながら歩く。

尾根筋から少し傾斜はましになるけど、えんえん登り。板をはいた足が重い。一歩一歩にものすごく時間がかかる。
樹林帯のきれたところ(1500メートルくらいか)で、視界がひらけた。
360度の大パノラマである。
朝みあげていた岩峰がすべて自分の眼下にある。
遠く真っ白に光っているのは尾瀬のあたりの山々のようだ。
目が痛くなるほど空が青い。
空にすいこまれていきそうだなあとぼんやりした頭で思う。
雪山は神々しく、いい鈴の音がして山のかみさまや仏様がおりて来られそうである。

こんな雪しかない高い山の上で目の前をすいーっと鳥が横切った。
「ガルーダのかみさま、もう足が重くてあがりません。力をかしてください」と心でつぶやくと、なんだか少し身体が軽くなってもう少しだけ登ろうと思う。

近くの沢筋で雷のような落石のような地響きがした。
はじめて雪崩の音をきいて、足がすくむ。

巻機山の手前にある前(ニセ)巻機山の山頂部はクラスト、かなりの急斜面でしかも樹林帯なし、滑落したらどこまでもコースである。
エッジがきかなくて怖い。
結局この時点で14時をすぎていたので、巻機山山頂はあきらめ、前巻機山からシールをはずして下山を始めた。

急斜面をこわごわ降りるとあとは美しいおだやかな斜面、のびのびと滑る。
登るのはものすごく時間がかかるけど、すべりは一瞬である。
お天気に恵まれ、快晴無風の山のてっぺんで、この世のものとは思えないほどおいしいカップ麺を食べてブナの森をゆっくり滑り降りる。

四足で登ってきた急斜面を雪崩をおこさないようにずるずるとゆっくりなんどもターンを繰り返しておりる。
17時半ころ車に戻ってくる。
無事に帰れて嬉しい。
クライミングで故障している右ひざはもうはげしく痛み、持ち上げることも出来ないくらい疲れている。
温泉でゆっくりあたためて疲れをいやした。

辛い行程だったけれど、これほど眺望の美しい山もまたとない。
たしかにあの景色は登りの苦労を補ってあまりあるものだ。
そして、(あんなに登りが辛くて苦しかったのに)また巻機山にはぜひ登りたいと思ってしまうのである。
自分の足で高度をかせいで一歩一歩登った山、なんともいえない充実感がある。

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